僕は就活を証明しようと思う。

完璧な就活というものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。

就活生よ!じげんを褒めるな! むしろ正しくディスれ!けなせ!

就活支援会社がビジネスモデルの関係で言いたいけど言えないこと、でも学生は知っておかないといけないことをお届けする企業の採用証明シリーズ第2弾。

今回は「愛情、友情、平尾丈」のキャッチフレーズでお馴染み?のじげんを扱ってみたい。

※支援会社が真実を言えない理由はこちら↓

skogaku.hatenablog.com

┃次元を越える六本木のS級クラス女子

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今回より、5つのポイントで企業を定量評価してみる。あくまでも主観での採点であることはご容赦いただきたい。(余談だが、ポジションを取らないメディアほど面白くないものはない。まるで、誰も殺されない推理小説のようにね)

結論、じげんを恋愛市場に置き換えるなら、六本木のS級クラス女子といえる。自身のスペックも高く男性に求めるものも高い。色々な男に奢られていて、自身でも稼いでいる、モデル並みの男性から言い寄られることも多く、プライドも高い。というところだろうか。

学生の観点に戻ると、グラフのとおりシンプルに向き不向きが分かれると考えられる。

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そう考える理由を記載する前に、本筋とはズレるが、5つの観点について補足しておく。

①社会共感性:事業、会社は何のために存在するか、その「目的」が社会のためになっており社会的に共感されやすいか

②裁量:自分で「自律的に」決定できる範囲がどこまであるか

③社員能力:優秀な社員がどれくらいいるか、彼らと仕事をすることで「成長」が見込まれるか。

④事業優位性:会社のビジネスモデルに仕組みとしての優位性があるか。

⑤待遇:挑戦したいといっても基盤となる収入をどれくらい得られるか。

最初の3点は「モチベーション3.0」にある枠組みにはめることで、人がモチベーションを感じやすい観点に分けている。 

最後の2つに関しては、「やる気」がいくらあっても会社として勝ち続けられるのか、どれくらいの水準の生活ができるかについての指標となっている。 

┃「事業家集団ZIGExN」の今

最近発表された四半期決算から年間の数値をざっくり推計すると、売上100億、営業利益33億(利益率33%)という数値を叩きだしている。そして驚愕なのが時価総額1,400億という会社の規模を、創業10年近くで作りあげていることだ。参考までに誰もが知っているであろうクックパッド時価総額は600億、ここにも市場の期待感が溢れている。

もちろん、ビジネスモデルへの評価や、戦略への評価もあるだろうが、それ以上に大きいのは、あのリクルートで「10年に1人の起業家」と言われ、最年少取締役となった「愛情、友情、平尾丈」こと平尾社長の彗眼と行動力への評価だろう。(余談だが、キャッチコピーと平尾社長のクールなUIがあってなさすぎると感じるのは私だけだろうか)

┃主力の人材事業のビジネスモデル

では、売上約100億のうち80%以上を支える主力事業である人材事業のビジネスモデルを見てみたい。

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同社の人材領域のビジネスをまとめると下記のとおりだ。大きく3つ、アグリゲーションメディア、ポータルサイト、システム提供と3つのモデルを有している。つまるところ、求職者を集めて、提携メディア企業に送るか、自社の求人在庫に直接応募してもらうかでマネタイズを行っている。

 

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同社の決算資料でもまとめられている通り、求人広告市場は1.2兆円、そのうちじげんのシェアは17年3月期だと0.5%の50億程度にすぎない。そのため獲得できる市場についてはまだまだあると言う意味で市場の魅力としては大きい。

では、短期長期ともにビジネスの鍵を握るのはどこか。SEOでのマーケティングがメインなら、「上位表示」によるユーザー集客が肝になり、PPCでの有料集客がメインならCVRを上げることで広告費を回収する意味で「企業数」がより大事なKPIになると判断できる。前者であれば基本無料でユーザーを獲得し、ユーザーがいるから企業を獲得できる、逆に後者の場合は、有料で集客しても掲載数がないとコンバージョンに至らないため、企業を獲得し(成果報酬なら提携難易度は低い)、多くの求人在庫をもちCVが見込める状況で有料集客が行える。卵が先か鶏が先かの議論だが、ビジネスモデルとマーケティング方法によって取るべき戦略は異なるように思う。

┃同社のアキレス腱はどこか。

例えばアルバイトEXでみるとSEOモデルであろうか、PPCモデルであろうか。勿論両方行ってはいるのだが、出ているデータから判断すると、PPC主導なのではないだろうか。理由としては同社のIRを見ると月の販管費(主に人件費と広告費)として4億/月を使っている。社員数が130名で80万/月としても1億ほどなので、その他費用を考えても2〜3億円はPPCで回していると考えられる。

また、実際にアルバイトEXを例に検索をしてみると、アルバイトを検討中のキーワードで「データ入力 バイト」では上位表示ができておらず、顕在化しているニーズである「ディズニーランド バイト」等では上位表示が実現できている。検索回数でいうと前者は後者の10倍ほどあるようなので、SEOで「量」を獲得することはできていないようだ(あるいは狙っていないようだ)

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であるならば、同社の最大のアキレス腱は、メディア企業の掲載中止ではないだろうか。PPCで集客する以上、じげん側としては単価を上げてもらう必要がある(もしくは単価の高い案件を優先して出すかだ)。勿論、メディア企業側は安くすむに越したことはないのだが、自社のみが掲載しないと、競合のメディア企業にその分を持っていかれる機会損失が生まれるので簡単には掲載をやめられないだろう。しかし、各メディア企業が談合を組み、マーケティングプラットフォームの利用をやめる、ということも考えられなくはない。

 

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事実、私の見落としでなければ平尾氏の出身であるリクルート社の「TOWNWORK」や「バイトル」との提携が見当たらない。このあたりから筆者は「価格がおりあわず古巣が降りた」と推測している。

┃事業の意義に見いだせないComfort building

(ここまでが小難しくなりすぎたので就活生はここから読んでもらってもいいかもしれない)さて、ここまでは優秀なカリスマが、優秀なビジネスモデルを生み出し、優秀な仲間を採用することで利益と時価総額を実現していることを述べた。実際に入社すれば、このような社員からビシバシとしごかれ、事業家集団としての考え方のいろはを徹底的に叩きこまれると思う。そしてそれはリクルートのDNAを色濃くついでおり、実際に同社の行動規範の1つである「ぐるぐるPDCA」や、リボン図を使った説明等はリクルートの最も得意とすることだろう。 

リクルートの すごい構“創

リクルートの すごい構“創"力 アイデアを事業に仕上げる9メソッド

 

 一方、「ロジック」を元にした事業構築が強いあまりに、置いてけぼりにされているのが事業そのものの意義であるように感じ、筆者としては恋愛工学で大切な「共感」がしにくいのも事実である。ACSフェーズで言うなれば、Aフェーズで大胆なマウントを取り、Cフェーズをすっ飛ばしたままSフェーズでクロージングされている感覚だ。これも感覚値ではあるが決算説明資料も、ものすごくわかりやすく事業戦略が俯瞰されているのだが、それぞれの事業の意義や価値はあまり語られていないように思う。(同社決算説明資料はこちら

意義の部分に筆者が共感できない決定的な理由は下記を見て欲しい。これは執筆時点で「東京勤務の企画営業職」を検索したときの結果である。右上に媒体名が出ているのだが、私が目視で確認したところ2ページ目まで、つまり40件目までが「@type」の求人案件なのだ。

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であるならば、求職者からしたら@typeを見ればことは済むのではないだろうか。。
確かに@typeとマイナビ転職両方の案件が見られるのは便利ではあるが、重複もあるであろうことや、2ページ目までを1社が独占なのであれば、その価値も薄く感じてしまう。

さらにだ。ビジネスモデルを前述したが、じげんからすると高単価の案件への応募が望ましい。これはいみじくも同社資料で「高単価商材への送客強化」と宣言されていることからも明らかだ。

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筆者はもちろん聖人君子ではないので(あるならば恋愛工学は題材にしない)、利益のためのロジック構築を否定するつもりはない。ただ、「求職者が良い仕事にめぐりあうか」という価値基準がいつのまにか損なわれてしまっていないだろうかというところが気になるのである。

┃S級美女に投資できるか?若いうちは自己成長への投資である

待遇について新卒に限ると初任給が300万、月収25万とのことだ。他のITベンチャーを見ると25万〜30万くらいの水準のところが多く、やや低めではあるように思う。ただし、前述したとおりバキバキの優秀層に厳しいフィードバックをもらいながら成長出来る可能性も、相応の裁量をもって事業推進できる可能性も高い。

ならば、ここの月5万ほどのお金はMBAに通っている自己投資と捉えれば良いのではないだろうか。上昇幅についてはデータがないためわからないので言及は控える。

(なお恋愛工学的にはS級女子に投資するのは愚策であることは言うまでもない。)

┃強くなりたいあなたに最適な企業

まとめると、自己成長にとってはこの上ない環境であるということだ。まずは成長第一に考えたい就活生や、将来的に起業をする筋肉を鍛えたい就活生にはとてもおすすめだ。逆に、事業の社会価値を見出したいタイプや、ウェットな環境を望む学生にはアンマッチかもしれない。

アート(芸術性、共感性)、クラフト(経験)、サイエンス(ロジック)のバランスで言う、「アート」を置いてけぼりに、クラフトとサイエンスで成長してきた会社とも言える。近しい属性の会社がDeNA等であろう。

ただし、バランスはあれど、結局はこの言葉につきる。

"完璧な企業等というものは存在しない、完璧な絶望が存在しないようにね"

風の歌を聴け (講談社文庫)

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 何を取って何をとらないか、その判断は貴方次第だ。