僕は就活を証明しようと思う。

完璧な就活というものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。

僕は最強の恋愛工学戦士が誰だか証明しよう。

本ブログの元論文である本家「ぼくは愛を証明しようと思う。」内のベーシック理論、恋愛工学。そして恋愛工学の学習者は工学生、恋愛工学戦士などと呼ばれる。Twitter界隈には、その戦士が多数存在し、コミュニティとなっている。

その数多の恋愛工学戦士の中で、工学生首席と呼ぶべき人間を見つけてしまった。 

本稿は就活とはテーマがズレるが、就活工学のベースは恋愛工学であり、その首席のプレイは知っておいて損がないので筆をしたためたいと思う。

のっけから、その首席の名を明らかにしてしまいたい。それはずばり

村上春樹小説の主人公

に他ならない。

本稿では、下記の村上春樹小説を中心に、恋愛工学首席として春樹小説の主人公のプレイを研究してみたいと思う。

※参考文献

ノルウェイの森 文庫 全2巻 完結セット (講談社文庫)

ノルウェイの森 文庫 全2巻 完結セット (講談社文庫)

 
国境の南、太陽の西 (講談社文庫)

国境の南、太陽の西 (講談社文庫)

 

また小説中の引用箇所については、ドリーさん(@0106syuntaro)の「村上春樹いじり 」から抜粋させてもらっている。

前置きが長くなったが彼のプレイを覗いてみよう。なお、背景にある恋愛工学の基礎理論は今回のエントリーでは説明しきれないので、本家のメルマガを購読してみてほしい。

***

┃Attractフェーズの完全攻略方法

このフェーズで最も難しいのが「非モテ」感を出さないでいつつ、自分を上手く魅力付けすることだ。その難易度が高いプレイを完全にマスターしているのが春樹小説の主人公だ。

羊をめぐる冒険において、主人公は「耳がすごい女」という物語のヒロインと出会う。そのヒロインに会って間近のプレイがこれだ。

「僕が角を曲がる」と僕は言った。「すると僕の前にいた誰かはもう次の角を曲がっている。その“誰か”の姿は見えない。その白い袖がちらりと見えるだけなんだ。でもその袖の白さだけがいつまでも目の奥に焼きについて離れない。こういう感じってわかるかい?」(p51)

わからんわ! ただ、君が気になる、というのをストレートに言わないことでの非モテ回避、かつ自分のメタファーの巧みさを武器に社会的地位をさらっとPRしている。さらに同タイトルの別のシーンを見て欲しい。

女「あなたは何を抱え込んでいるの?」
主人公「たいしたことじゃないよ」
女「きっとあまりしゃべりたくないのね?」
主人公「きっと上手くしゃべれないことなんだ」
女「本当にしゃべりたいことは、うまくしゃべれないものなのね。そう思わない?」
主人公「わかならないな」 

女から興味をもってもらい、共感してもらえても、ここまでクールに受け流す、このマウントの取り方こそ、Attractフェーズにおける真骨頂ではないか。

まだまだくる。女性からの彼女いるの?奥さんとはなんで別れたの?という類のテストに対しての100点満点の回答がこれだ。

「さっきも言ったように一口じゃいえない。しかし、ニーチェの言葉にもあるように、退屈さには神々を旗をまくってね、そういうことさ。」(p59「羊をめぐる冒険」)

どういうことだか筆者には全くわからない。ただ「彼女いるの?」というような質問に対し、嘘はつかずに(本当のことは言わずに)答えるというのがセオリー恋愛工学においては最高のアンサーなのではないだろうか。

また、「非モテ」の最大の的であるメンタル面が恐ろしく強靭なのもハルキストの特徴だ。国境の南、太陽の西内で既セクのイズミちゃんの従姉に出会ったときの主人公の心境を見て欲しい。

「僕は最初に彼女と顔を合わせたときから、この女と寝たいと思った。もっと正確にいうなら、僕はこの女と寝なくてはいけないと思ったのだ。」(p57)

勘違いしないで欲しいが恐らく彼は「ヤラなくてはいけない」「内定が欲しい」というメンタルで焦っているわけではない。「こいつに俺とやる以外に選択肢あるのか?」くらいのボスザルの心境なのだ。その証拠にだ、、

「そしてこの女だって僕と寝たがっていると本能的に感じた。」(p57)

あまりにクールすぎるプレイとメンタルにイライラしてくるほどだ。

オナ禁のメリットを体現する主人公

恋愛工学の中では「オナ禁」によってテストステロンが分泌され、男らしい体つきになり自信がつくこと(非モテの対極が自信だ)、頭の回転が早くなること、が発表されている。ただし、というべきかわからないが、最大のヒット作、ノルウェイの森の中での主人公ワタナベはこんなことを言っている。

「ときどきぬくもりが欲しくなるんです」(p109)
「ずっとマスター◯ベーションしながら待ち続けるべきなんですか?」(p211)

 ドリーさんも指摘の通り、「そうなんだよ!!!」「待ち続けるんだよ!!!」全ての男がそれで耐えているんだから、お前もそれで耐えるんだ。と言いたいのだが、やはり彼らはデフォルトでオナ禁なようだ。だからこそ、これまで紹介してきたような自信みなぎるプレイが可能なことを考えると、オナ禁の効果は絶大なのだろう。

 ┃Seductionフェーズの完全攻略方法

さて、そんなボス猿プレイを繰り広げたハルキストが最後のフェーズをどう乗り切るのか。ちなみに基本のACSフェーズの中で(ACSフェーズについては下記を参考にしてほしい)信頼関係構築のフェーズとなるComfort buildingは飛ばす。というよりも彼らはこのフェーズをサラッと流しているのだ。しいて言えば、ウィットに飛んだメタファーと、度々登場する「喫茶店のコーヒー」や「バーでのウォッカ」が和みの役割を果たしているのかもしれない。

cakes.mu

 本筋からそれたが、最後の口説きであるSeductionフェーズをハルキストはどう攻略しているのか。このフェーズにおいて、多くの一般男性が尻込みしてしまうようなことを彼らは一切躊躇しない。一言で言えば、

勇気

これを最大限に持ち合わせているのが彼らなのだ。恋愛工学の提唱者である藤沢氏も結局は「セッ◯スさせてほしい」と直接的でも間接的でも言えるかどうかに全てがかかっていると警告している。それを彼らは悠々と踏み越えていくのだ。

「やってほしい」(「ノルウェイの森」p259 )

草むらを歩いているときに入院している直子にワタナベが言ったセリフがこれだ。よく見て欲しい、たった6文字だ。これで草むらで手でしてもらうこととなる。

 ┃グダをクリアする

Seductionフェーズで最も起こりやすいのがこれだろう。逆に言えば「してもいいけど、付き合ってくれるの?」だ。そんなテストへの最高のカウンターを繰り広げているシーンを紹介しよう。

「本当に私と一緒になりたいの?」
「僕という人間には、僕の人生には、何かがぽっかりと欠けているんだ。失われてしまっているんだよ。そしてその部分はいつも飢えていて、乾いているんだ」(「国境の南、太陽の西」p244)

 みてくれ、この120点満点の返しを。そして2人はこの後結局寝ることになる。「付き合わないとできない」の返しのセオリーは「嘘はつかず、全く別の話にもっていく」に集約されると思うが、上の回答を見て欲しい。なんと解釈を女性に委ねるという最高のパスを女性にだしている。つまり都合良く見れば、付き合ってくれるのかも、と取れるのだ。さすが工学生首席。

 ┃(番外編)究極の弁明方法を証明しよう

工学生として優秀であればあるほど、バレてはいけない真実が明るみになるリスクは増えていく。そのリスクが現実になったときでさえ、ハルキストは最高にクールなのだ。前半にも登場した「国境の南、太陽の西」において、イズミちゃんの従姉と寝ていたことがイズミちゃんにバレてしまう。その際のイカす弁明を見て欲しい。

「僕と彼女のあいだに起こったことは決して本質的なことではないのだと。それは本来の道筋で起こったで出来事ではないのだと。それは一種の物理的な吸引力のようなものであって、僕の中には君を裏切ったというやましささえほとんどないんだ。」(p62)

「け、決してそんなつもりはなく、つ、つい出来心で。。◯◯ちゃんを嫌いになったわけじゃないんだ。ごめん許して欲しい」と一般の男がなりそうな場面でこの余裕だ。「本質的なことではない」のだ笑

***

本ブログは就活生向けに真面目にテクニックを紹介することがテーマだが、本稿は完全に番外編として捉えて欲しい。ただ就活工学も昇華しきると、ハルキストのようなプレイができるようになるのかもしれない。出会ってすぐに面接官を抱けるようになるまで、我々は精進したいと思う。

※最後に本稿を書くにあたり春樹小説を読み直す時間はなかったので抜粋はほぼ本書からさせてもらったことにお礼を述べたい。

 

村上春樹いじり

村上春樹いじり